猫のジャンプ力って凄いですよね。猫が高い所へヒョイッと飛び乗る時の華麗なジャンプ姿は日常的によく目にすると思いますが、その『猫のジャンプ力』について考えた事はあるでしょうか?
高い塀をヒョイヒョイと登っていく姿や、頭上めがけて飛ぶ『垂直飛び』など、簡単にやっているように見えますが、我々人間からすると高い塀までジャンプするというのは到底考えられない事ですよね。
では、猫はなぜそんなに高くまでジャンプすることができるのでしょうか?
今回はその秘密とジャンプ力の歴史、ジャンプが得意な猫種について話していきたいと思います。
猫のジャンプ力の高さ
まずはじめに、猫のジャンプはどのくらいまでの高さを飛ぶ事ができるのか?の疑問を解決していきましょう。
猫はなんと、驚くことに自分の身長の4~5倍ほどの高さをジャンプする事が出来ます。
これは、猫の平均の体高が25cmから30cmほどなので、5倍の高さとなると1.25m~1.5mの高さまで飛べる事になります。人間の私たちには考えられない凄いことですよね。
また、猫は飛び乗ろうとする目標の高さを認識して、そのジャンプ力に強弱をつけることが出来ます。
自分よりはるかに高いブロック塀の前で、ジッと塀を見つめて構えてる姿を道端などで目にしたことがあるかと思います。
それは目標をしっかりと見つめ、関節を効率よくバネ代わりに使い、ジッと構えて後ろ足に力をためている状態なのです。そして、筋肉を使い一気に跳ね上がり、ジャンプします。
このように猫は、日々ジャンプを調整しているのです。
猫のジャンプの秘密
ではなぜ、猫は自分の身長をはるかに超える高いジャンプができるのでしょうか?それは二つの『バネ』と『バランス能力』に秘密があります。
①後ろ足のバネ
猫は後ろ足の筋肉が発達しているため、後ろ足の力がとても強くなっています。それは、猫の後ろ足には『速筋』と呼ばれる瞬発力に優れた筋肉が多く付いているからです。
また、後ろ足は前足に比べて長めになっています。この長い後ろ足をバネのように深く折り曲げて伸ばす事で、約5倍の高さに達するジャンプ力が出来るのです。
長い後ろ足と筋肉の発達のおかげで猫は、高い木に飛びついたり、獲物にジャンプして飛び掛ったり、短い距離を全力で走ると言った行動が得意とされています。
『目にも止まらない速さ』を可能にしているのは、後ろ足に秘密があったんですね。
②背骨のバネ
猫の背骨は短い円柱状の脊髄がたくさん連なって出来ています。この脊髄はとてもしなやかに曲がり、弓のように丸めたり真っ直ぐに伸ばしたりする事ができます。
これは骨と骨の間の靭帯や、背骨と背骨の間にある椎間板と呼ばれる軟骨が非情に柔軟だからとされています。
後ろ足の力に加えて、この背骨をバネのように動かす事で、猫は高いところまで届くジャンプ力が出せるという事です。
バランス能力
猫は平衡感覚がもっとも優れている動物だと言われているのはご存知でしょうか?
猫の耳の中には、バランスを司っている『前庭神経』と聴覚を司っている『聴神経』があります。
前庭神経は『三半規管』と連携していて、頭や顔の重力に対する向きを自動的に計算し体を倒さないように調整してバランスを保っています。
ジャンプしたり着地をする時、これらの器官が体の傾きを伝え、目から入る情報をもとにバランスをとります。
その為、ジャンプする時はもちろん高い所から飛び降りる時も、無事に着地ができるのです。
猫のジャンプ力の凄さの理由は歴史にあった!
猫が高くまで飛べる理由は分かりましたよね。
猫は元々狩りをしていた動物で、圧倒的なスピードと瞬発力を武器に獲物をとらえていました。
その為、脚力は動物の中でもかなりのものだと言われています。猫が本気で走ったら、なんと時速50キロ弱をたたき出すそうですよ。
また、猫の祖先は『リビアヤマネコ』とされているのは皆さんもご存知だと思いますが、もっと古い祖先は『ミアキス』や『プロアイルルス』『プセウダエルルス』などという小型の動物と言われています。
これらの動物は元々森の中の木の上で生活していた可能性が高いと言われていて、外敵に狙われにくい高所で生活していたと考えられています。
その為サルのように木を上り下りする能力や、木から木へジャンプで飛び移る能力が高くなったと言われています。
これらの事から、猫は高所からの落下に強いと言われていて、着地も完璧にこなす事が出来るようです。
普段から他の動物より『脚』を使っていたこと、高い所での生活から生まれた身体の弱軟性、それらが現代の猫まで遺伝して残ったと言われています。
そんなルーツがあることから、猫の驚異のジャンプ力は自然な行動であると言えるのです。
ジャンプが得意な猫種
猫のジャンプ力が凄い話をしてきましたが、どの猫種でも高く飛べるのかといったら、実はそういうわけでもないようです。
実験結果によると、後ろ足が長く、体脂肪率が低い猫ほどジャンプ力が高くなるという結果がでている事が分かっています。
皆さんは『サーバルジャンプ』という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?『サーバル』というのはアフリカのサバンナに住むネコ科の動物の一種です。
サーバルは飛び立つ鳥を捕まえることができるほど跳躍力に優れた動物で、『サーバルジャンプ』という言葉があるほどジャンプを最も得意とすることで有名な動物です。
その血を引いている猫種がいます。それは『サバンナ』という猫種です。
はじめに、『サバンナ』について説明してくれている動画を見てみましょう?
『サバンナ』はサーバルとイエ猫を交配してできた猫種で、サーバルの特色を色濃く残していて、身体能力はとても高いとされています。
ジャンプ力はなんと2.5メートルにもなるそうです。他の猫種よりも後ろ足が長く、軽々とジャンプする姿はとても美しくしなやかで、野生的なかっこよさを見る事ができます。
逆に、短足のマンチカンは運動は得意ですが、ジャンプ力はそれほどないです。体格的に仕方ない事ですよね。
次の動画では、猫の高い身体能力の高さが分かる動画となっています。猫の身体能力には驚かされますね。
まとめ
・バネの働きをする長い後ろ足
・抜群のバランス能力
猫のジャンプ力について話してきましたが、もちろん個体差はあります。
愛猫と猫じゃらしなどで遊んでいる時にもジャンプ力の高さに驚くことがありますが、きっと普段見ている愛猫のジャンプはまだまだ本気ではないのでしょうね。
1.5メートルまで飛べることもあるということは、もしかすると立っている飼い主の私たちさえ飛び越えてしまうかもしれません。
それに、一緒に遊んでジャンプさせてあげているうちに、ビックリするほどの能力を見せてくれることもあるのではないでしょうか?
しかし、『速筋』は疲れやすいという面もあり、長時間にわたって使う事はできません。愛猫とおもちゃ等で遊んでいても、10~15分すると休んでしまうのはそういう理由からです。
その為猫の魅力であるジャンプ力を楽しみながら、猫が安全にジャンプして過ごせる環境を作ってあげてくださいね。
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