夢が叶って初めて猫ちゃんをお迎えしたものの、猫ちゃんの気持ちがよく分からなかったりすることは、猫飼いさんであれば誰しも経験があることと思います。
新しい猫ちゃんを飼い始めてまだ間もなくて、警戒心の強い猫ちゃんがなかなか馴染んでくれなかったりすると
「こんなにかわいがっているのになついてくれない」
「もう少しなついてほしいなあ」
と寂しく感じてしまったこと、ありませんか?
一生懸命頑張っているにもかかわらず、まるで自分が猫ちゃんから不合格のサインをもらってしまったようなやるせない気持ちになって落ち込んだりしちゃいますよね。
それ以外にも、ごはんやトイレのお世話をしているのは自分なのに、ほかの家族にべったりとなつかれたりすると「え~なんでなの?」って不思議と疑問と失望がわいてきたりします。
是非とも知りたいこの疑問に、今回は猫ちゃんとなつかれる人の行動にスポットを当てて、探っていってみたいと思います。
猫がなつく理由
調べていくと、猫がなつくという信頼と愛情の証を見せてもらえるようになる理由は以下の4点に集約できます。
我が家では、ごはんもトイレ掃除もまったくやらないにもかかわらず、とても猫になつかれているという不可思議な現象を目の当たりにしておりますので、このうち全部でなくてもその猫にとって大切なことがいくつか当てはまればよいようです。
なついてくれると猫ちゃんはそれはもうメロメロになりそうな様々な行動で愛情表現をしてくれますので、ますます入れ込むという循環が始まります。
●安心できる
●乱暴をしない
●愛情をかけてくれる
猫の習性とこだわりが関係していることが分かる例と合わせていくつかみてみましょう。猫になつかれる行動を青字に、嫌われる行動を赤字にしてみました。
ごはんをくれる
猫は食べ物と愛情を緊密に関連づけています。だから、食べ物をくれる人は愛してくれる人なのです。
ごはんをくれる人間を猫が必要とするようになり、敵ではないと認識することにも繋がりますので、猫がなついてくれる一番のきっかけとなります。
慣れてきたらごはんやおやつを手からあげると効果的になつかせることもできます。
おいしいおやつには目がないようで、「シャーシャー」言っていた子までも「ニャーーン」と甘え鳴きをしながら寄ってきたりするので、食べ物の力は偉大です。
安心できる
警戒心の強い猫にとって食べ物を確保してお腹を満たすことに次いで大切なのは自分の身が安全であることです。
猫にとって脅威レベルが低いと認識されると安全だと感じてもらえます。それでは、どのような接し方をすると安心だと感じてもらえるのでしょうか?
単独行動をする習性をもつ猫は、行動を制限されることをとても嫌います。撫でようとして無理に触ったり、いきなり抱き上げようとすると、嫌がって逃げていってしまいます。
猫は自由にさせてくれる人が好きなのです。
その他いきなり近づくことは反射的に嫌がります。目をじっとみつめることは喧嘩を売っている合図になることがあります。
寝ている所を邪魔されるのも嫌がるので、このような行動は避けた方がいいでしょう。
撫でさせて欲しい時には段階を踏むことも必要です。初対面の猫には指先を猫の鼻先にもっていって、匂いを嗅いでもらいましょう。猫がどういう人かを判断してくれます。
匂いを嗅ぎ終わっても逃げないようでしたら、軽く頬などにふれてみましょう。撫でさせてくれたら仲良しになれる第一歩です!
狭い所に隠れてしまって猫が出てこない時、自分は嫌われてしまったと思うかもしれません。しかし、そうではないのです。
猫は習性で外敵から身を守るために隠れるという行動をとります。猫の行動の多くは安全であるかどうかを基本としているので、逃げてしまうのは嫌いなのではなく怖いのです。
猫に出てきて欲しい時は、猫をひとりにするか、優しい声を聞かせて、危険ではないことを分かってもらえると寄ってきてくれるでしょう。
行動以外にも、なつくかどうかの要因のひとつに声があります。猫にとって高い声は子猫の声や母猫が子猫を呼ぶ声として認識されるため、猫に話しかける時の声が高い人の方が猫になつかれます。
それもあまり大きい声ではなく小さめの声の方がなつかれる傾向にあるようです。
乱暴をしない
特に猫に対してでなくても、行動が乱暴な人にはなつきません。普段の行動が荒っぽく、いつも慌ただしい人がそれにあたります。
大きな音を立てて歩いたり、ドスドスと階段の昇り降りをしたり、ドアを思いっきりバーンと閉めたり、物を置く時に放り投げて大きな音を出すような人は、知らず知らずに猫を驚かせ不安や恐怖を与え、苦手な人として学習されてしまいます。
猫がいる時や猫に近づく時には急な動きを避け、できるだけゆっくりと穏やかな動きで、大きな音を立てないようにするとなつきやすいです。
また猫の扱いも乱暴で、無理やり抱き上げたり、嫌がっているのに捕まえて離してくれなかったり、抱き上げた時に暴れられて、高い所から急に手を放して落とすようなことをすると、猫に信頼されなくなります。
愛情をかけてくれる
猫は自分のお世話をしてくれる人をしっかりと見ています。猫は賢いと言われますが、実は思っている以上に賢い生き物で、誰が何時に起きてきて、ごはんをくれるかまで分かっているのです。
大人の猫はそれまでの経験をもとにした行動ができる賢さを用いて、家族の中で自分が誰になつけばいいのかを学習して決めることもできるようです。
ですから、ごはんやトイレ、ブラッシングなど、猫のお世話をたくさんすると自分にかけられている愛情が分かってなついてきます。
また猫が好むおもちゃなどで猫が食いついてくるような遊び方をたくさんしてあげると、心を開いてなついてくれるでしょう。
自分ではグルーミングできない顔や頭、首元やうなじなどを撫でられることも比較的好きです。触るスピードは母猫が子猫をなめるリズムがベストです。
これは子猫の頃の無償の愛に包まれていた至福感が蘇るからだと言われます。上手な撫で方で、猫ちゃんに愛情をかけるのもいいようです。
猫は褒められると喜んでくれます。猫に対する親愛の情を「いいこだね~」「かわいいね~」「だ~いすきだよ」などの言葉を普段から優しくかけてあげることも意外な効果をもたらしてくれます。
猫がなついて心を許した人に見せる行動とは?
猫は自分に正直な生き物です。ただ正直すぎて、自由奔放だとか我がまま気ままで気分屋だとかいう烙印を押されてしまいがちです。
ですが、ちゃんと「大好き!!」のサインも正直に伝えてくれる愛すべき存在なのです。そのいくつかをご紹介します。
★お腹をみせる
両の前足をかわいく曲げたり、時には見事な万歳姿でへそを上に向け柔らかそうなお腹を惜しげもなく見せるというまったく無防備な姿は、敵意なんて微塵もありませんよというメッセージです。
警戒している時には絶対に見せてくれるものではありません。信頼できる存在とみなされている証です。
★のどをゴロゴロ鳴らす
ゴロゴロと喉を鳴らすのは母猫に甘えている子猫に見られる行動で、母猫と一緒にいるくらい安らいで嬉しい甘えたい気持ちを伝えてくれます。
猫がすぐそばで、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす時は心を許してくれている証拠だと思って間違いないでしょう。
★スリスリ
体をこすりつけて妙に甘えるようにスリスリしてくる時は、信頼している相手に自分の匂いをつけて、自分のものだと主張する行動です。説明抜きでなつかれてるなぁと感じられる場面です。
★フミフミ
猫が生まれつき知っているとても落ち着く行動なので、この行動をしてくる時はあなたのことを母猫のように感じて信頼を寄せ、快適で守られていることを実感中ですよということです。
幸せそうにフミフミしてこられると、なるべく動かないようそ~っと固まったままの姿勢で、目を細めながらその姿を眺めてしまうのは『猫飼いあるある』ですね。
★軽く頭突きをする
猫同士の大切な親和行動である頭突きをしてくるのは「大好き!」の証拠です。目を細めてゴロゴロしながら何度も小さい頭をぶつけてくる姿は幸せそのものに見えますよね。
★舐める
仲間と認めた相手にしか、舐めるという行為はしません。そんな猫がペロペロ舐めてくるのは心から信頼し、家族の一員だと思ってくれている証です。舌のザラザラがちょっと痛いけど我慢です!
★しっぽをピンとたてる
しっぽが直立位置になればなる程、親しさや信頼、愛情の強さを示します。自分のそばに来て、分かりやすくしっぽをピン!とたててくる様子は、なぜか自信ありげで可愛いですよね。
★気が付くと近くにいる
猫は『好き』という気持ちを表す時『近さ』で表現します。気が付くと傍にいてくれて、それでも付きまとわれてる感はありません。
一緒の空間に程よい距離でいてくれると、確かに「好きです」の気持ちが伝わってきますね。
★添い寝をする
寝る時間になると、どこかでぐうぐう寝ていても、ちゃんと起きてきていることはありませんか?
「さあ、寝よう!」ってついてきて、お布団の自分の好きな位置に陣取ります。何か重たいなって目をさますと、体の真上にのって寝ていることもあります。
他者との距離感を大切にしているなずなのに、体を預けてくるのは最強の信頼の証。少々重たいですがやっぱり嬉しいですよね。
★家の中を歩くとついてくる
あなたのいるところにいたいというサインです。甘えん坊の子に、忍者の肉球で、音もなくいつの間にか足元にいられるとうっかり踏んじゃうこともありますよね。
その時は「ごめんごめん!」ときちんと謝っておきましょう!
★帰宅すると出迎えてくれる
とってもいいお耳で、帰宅時に発する車のエンジン停止音や歩いてくる音をいち早くキャッチして、「ただいま~」って入るなり愛猫が出迎えてくれてる姿は何度見ても感激ものです。
自然にトーンを上げた高い声で「ただいま、ただいま、ありがとねぇ~」を言いながら、よしよし、なでなでのお返しです。
こんな行動で『大好き!!!』を表現してくれる猫ちゃん。ますます好きになってしまいそうな動画をどうぞ!
猫になついてもらうポイント
猫は生後2週齢~7週齢の間に、様々なことを学習し、社会性を身につけます。この時期に人間と触れ合うと、人懐こい性格の猫に育ち、人を警戒しなくなります。このように育った子は、難なくなついてくれます。
そうではなく、悲しい生い立ちや辛い過去を経験してきた子には、心して接していかないとなりません。
時間をかけて少しづつ心を開いてくれても、何かの拍子に過去の嫌な記憶に繋がったりするとまたシュッと心を閉ざすことを繰り返してしまうからです。
うちにもらわれてきた背骨の曲がった小さなキジトラの子猫がそうでした。まず目がおどおどして、およそ子猫らしくないのです。
この子には脱走癖があり、いったん外に出るともう別人格で、凶暴になって容赦なく「シャーーーシャーーー」と威嚇しまくり、手のつけようがありませんでした。
それでも12年5か月に渡るお付き合いの中でこの子はごろごろと喉をならすようになり、「ごはんがほしいよぉ」と大声で呼ぶようになりました。
お布団で一緒に寝て、ふみふみして、満面の笑顔(そう見えました)でいつもすぐそばに陣取り、へそ天のかわいらしい姿を披露してくれるようにまでなってくれたのです。
以下に心に傷を抱えているような子にも配慮しながら、なついてもらうためのポイントをあげてみました。
あまり構いすぎない
近づいてきた時には優しくする
ある程度の距離感を持ち、構って欲しそうに寄ってきた時には存分に構ってあげる
嫌がることはしない
一緒に過ごす時間を持つ
急がずに時間をかける
猫ちゃんとのお付き合いが始まって、なついて欲しいのになついてくれない一方通行の空しさを感じる時が最初のひと山です。
本当にこの子を受け入れる覚悟で向き合おうとしているのか、ツンツンされてもどれだけ自然体で待てるかを、自分自身に問われる時だからです。
何かひとつでもなつく態度を見せてくれた時は、努力が報われたようで本当に嬉しくて自信もわいてきますよね。
まとめ
猫ちゃんになついてもらうために試行錯誤を重ねて、結果その子とのいい関係を築くことができるとお互いに幸せな時間を共有することが出来ます。
こちらがかける愛情に応えてくれて、生活の中の様々な場面でホコホコするような愛情表現を見せてくれたり、時には爆笑し、時には癒され、時には慰められ、なんとも嬉しい優しい気持ちを味あわせてくれます。
長く、いいお付き合いを重ねてくると、その子の思いを直観的に感じる瞬間があります。
問題のキジトラの子も昨年に亡くなりましたが、最後にまん丸く見開いた眼でじーっとこちらを見つめて伝えてくれたのは、「あなたに会えてよかった」の静かなメッセージでした。
これが、なついてくれた何よりの証拠だと思っています。
最後に、猫ちゃんになついてもらうための大切なポイントが網羅されている動画をふたつ紹介させていただきますね。
みなさんも、喜んだり、落ち込んだりしながら、猫ちゃんとのドラマを作っていってくださいね。
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