家族の一員として、あるいは人生のパートナーとして猫ちゃんをお迎えする時、まず考えなければならないのが名前です。一昔前までは、猫の名前と言えば「タマ」「トラ」「ミケ」「チビ」「シロ」などが定番でした。
それが今では、猫が家族として位置づけられるようになってきたことや飼育数の増加、多頭飼いなど、猫を取り巻く社会的な環境の変化と相まって、一挙に枠が外れ、何でもありのお名前が受け入れられています。
このように自由であればある程、悩みます。猫ちゃんに名前をつけるのに何日も悩んで、それでも決められなくて迷う時もあるでしょう。
そんな悩みにお答えすべく、猫ちゃんにも分かりやすいお名前のつけ方のコツについてまとめてみました。参考にしていただけたら嬉しいです。
猫の名前ランキング2019
2月22日の猫の日に、アニコム損害保険株式会社さんが、猫の名前ランキング2019を発表しました。それによりますと結果は以下のようになりました。
これは、ペット保険に入れてもらえるような恵まれた環境の子たちのランキングなので、その他に、保護猫、拾い猫、もらい猫たちもまぜれば、また順位が変わってくることも予測できます。
1. ソラ レオ モモ
2. モモ ソラ ココ
3. レオ マル ルナ
4. ココ コテツ リン
5. マル コタロウ ハナ
6. ムギ マロン キナコ
7. キナコ ハル ムギ
8. マロン フク メイ
9. リン レオン ナナ
10. ハル ムギ サクラ
出典:https://www.anicom-sompo.co.jp/special/name_cat/
総合ランキングでは「ソラ」「モモ」「レオ」の順。この3つは順位は異なるものの昨年もトップ3に選ばれている人気ぶりです。
男の子部門では、昨年とおなじく1位が「レオ」、2位が「ソラ」3位は昨年の6位から浮上の「マル」
女の子部門では、昨年と同じく1位の「モモ」は不動の人気。2位も昨年同様「ココ」、3位が昨年8位から浮上の「ルナ」
いずれも、名前の響きや呼びやすさが抜群で、男の子はかっこよく、女の子はかわいらしいものがとても多いようです。
次に古風、和風を醸す漢字ランキングでは以下のようになりました。
1. 空 茶々
2. 福 姫
3. 茶々丸 凛
4. 小太郎 麦
5. 虎太郎 鈴
出典:https://www.anicom-sompo.co.jp/special/name_cat/
漢字ランキングからは、使用する漢字に込められた飼い主さんの願いも感じ取れるようでとてもいいですね。
最近、人間の子どもにも和風の名前が復活してきているようにも感じられますが、猫ちゃんたちにもその追い風が吹いているのでしょうか。動物病院で看護師さんをしている方によれば、猫ちゃんに和風の名前をつける方が増えてきているとか。
さくらちゃん・はなちゃんといった純和風な名前から、きなこ・あずき・おばぎちゃんといった和風スイーツまで、どれも素敵ですって仰ってました。
猫は自分の名前を認識しているの?
では、一生懸命考えてつけたお名前を、当の猫ちゃん自身は認識してくれているのでしょうか?
つい先日、「ネコは自分の名前を聞き分ける」という研究結果が発表され、英国の科学誌に掲載されました。この研究結果を発表したのは、上智大学の齋藤慈子准教授らを中心とした研究チーム。
猫はどうして自分の名前を覚えられるのか、覚えてもらうためには、どうすればいいのかを、齋藤准教授がお話ししてくれました。
- 一般的な名詞と自分の名前であれば、区別することはできる
- ネコが自分という存在を認識している訳ではない
- 人間の特定の音声を、行動や出来事に結び付けていると考えられる
- 餌をあげる時に「〇〇」と呼ぶことで、ネコはその単語と餌を結び付けて行動できるようになる
- 反応する時、しない時があるのはネコの気分、状態、状況による
- 別の名前で呼ばれていた場合、新しい名前で呼びかけることで再度学習することが可能
- 飼い猫に自分の名前を認識してもらうには、名前を呼んだ直後、『報酬』になることをしてあげるとよい
- ネコにとってネガティブな状況で名前を呼びかけない
出典:https://www.sophia.ac.jp/jpn/news/PR/press0405.html
以上、この研究から猫が自分の名前をどのように認識しているのかをまとめてみると次のようになります。
猫も自分の名前が分かる
猫ちゃんに呼びかけた時に、「ニャー」っと鳴いてくれる時があります。鳴き声でなくても、耳をピクピク動かしたり、しっぽをゆっくりと左右に振るなどをして「聞こえたよ、な~に?」のお返事をしてくれます。あえてしない子、無視する子もいるようですが・・
だから、猫は自分の名前が分かるように感じますが、実際はどうなのでしょう?調査結果によれば、認識の仕方がちょっと人間とは違うようです。
猫にとって名前とは、「自分の名前は〇〇である」という認識ではなくて、「この人は自分を〇〇と呼ぶ」という認識の仕方をしており、自分の名前を聞き分けるものの、それが自分につけられた名前であるという認識ではないようです。
つまり、猫は自分の名前を一つの音として覚えると考えられます。
また、呼ばれたことが分かってもお返事をしない時もあって、反応するかしないかは猫ちゃん次第ということになります。
猫が複数の名前を持っている場合
外猫が、複数のおうちでごはんをもらい歩く時、それぞれのおうちで全く違う名前を付けられていることがあります。
各々のおうちで、全く違う名前で呼ばれても猫ちゃんは困らないのか、きちんと自分のことだと認識しているのか疑問でした。
それが、別の名前で呼ばれていた場合、新しい名前で呼びかけることで再度学習することが可能という結果から、結構高い学習能力を活かして、どのうちではどの名前で呼ばれるかが分かっていることになります。
よって、保護猫などを新しく家族にお迎えする時に、名前を変えることにも特に問題はなさそうです。実際名前を一字変えてあだ名で呼んでも、名前の末尾をその日の気分でちょっとづつ変えて呼んでもちゃんと反応してくれます。
家猫ちゃんも、外猫ちゃんも、ちゃんと自分の名前を分かってくれていることがわかる動画を2つ、ご覧ください!
猫の名前のつけ方のポイント
動物病院に行くのは、猫ちゃんも飼い主さんも、気が重いものです。でも、動物病院で「〇〇ちゃ~ん」って呼んでくれた看護師さんから、「素敵なお名前ですね!」とか「かわいいお名前ですね!」ってほめてもらえると、正直うれしいものです。
名前のやり取り一つですが、頑張ってつけたお名前をほめてくれた看護師のお姉さんが優しくていい人に感じられて、重たかった気持ちがぱっと明るくなったりします。結構、名前っていろんな場面で作用してくるんですね。そんな大切なお名前のつけ方のポイントをあげてみました。
猫が覚えやすい名前
名前を音として認識するので、猫にも聞き取りやすく、覚えやすい名前を選ぶのが一番目のポイントです。
それには響きのいい2~3文字程度の短い音から選ぶと、覚えてくれそうです。さらに適度な濁音(ガ行・ザ行・ダ行)を含むのもいいそうですよ。
逆に長いものやのばす音が多いと聞きとりにくいようです。
呼びやすい名前
毎日、何度も呼ぶことになる名前ですから、飼い主さんが呼びやすく、呼んでみて音の響きのいいものを優先するといいかもしれません。
行動や出来事と結びつけて名前を覚えるのが得意な猫ちゃんには、呼ばれた時に、嬉しい・楽しい・優しいを感じさせる名前だとさらにいいと思います。
母音が被らないようにする
猫ちゃんとの生活では、朝起きた時、ごはんの時、出かける時、帰ってきた時などに名前を呼んで話しかけますから、一匹の時はともかく、複数飼いの他の子と似たような名前だと、自分が呼ばれているのか分かりづらくなります。
猫ちゃんが混乱しないよう、区別のつく名前にするために、「ハナ」「ナナ」などよく似た、母音が被る名前は避けた方がいいでしょう。
オス・メスの区別がわかる
今は避妊や去勢の処置をうけて、その後ぽっちゃりになる子が多くいますので、男の子か女の子か、ちょっと見には分からないこともあります。
それでも、男の子は男の子であることを自覚しているような行動をとったりします。
どちらにつけても問題のない名前もいいですが、男の子はかっこよく、女の子はかわいらしいお名前をつけてあげるのも素敵です。
愛着の持てるもの
大好きなことやものをイメージさせるような愛着の持てるものであれば、名前を呼ぶたびにいとしさがわくようになり、猫ちゃんとの関係もいいものになることでしょう。
和風スイーツの名前がついている猫ちゃんに会うと、食いしん坊の自分としては、おいしそうな和菓子が浮かんできて、いいイメージと一緒にインプットされるので、いいお名前!って好感度高いです。
猫ちゃんをがっかりさせないもの
「こら」「だめ」など叱る時に使うような言葉に似ているものや、ネガティブなニュアンスを持つ音に似ているものは避けてあげましょう。
名前を呼ばれるたびに、怒られる、嫌なことがある、と勘違いしてしまうようでは、かわいそうです。名前を呼ばれることに不安を感じてしまうかもしれません。
せっかくの名前が台無しになりそうなものは、できれば避けた方がいいと思います。
人気の名前は被ることを覚悟して
人気のお名前は人気なだけあって、魅力的でいいなぁと思うし、その名で呼んでみたくなります。
でも、うちの子と同じ名前の子が、あっちにもこっちにもいたら、ふっと萎えたりしませんか?そうでなければ全然大丈夫です。
猫に名前をつけてみよう
ここでは、今人気の和風の名前を考えてみたいと思います。
和風だと響きが柔らかく、なによりも馴染み深く、親しみを込めて呼んであげることでより猫ちゃんとの距離が近くなりそうだからです。
猫の特徴からつける名前
その子の姿形・色・柄・大きさといった見た目の印象をそのまま名前にするつけ方はストレートで分かりやすいです。
小さい子には「ちび」「おまめ(お豆)」
頭がまん丸だから「まる(丸)」「たま(玉)」
はちわれだから「はち(八)」
黄褐色だから「こはく(琥珀)」
みんながよく知っているなじみのものからつける名前
アニメ・漫画:「こてつ(小鉄・虎徹・虎鉄)」
「ハル(春)」
昔話: 桃太郎・金太郎・浦島太郎
長いのが難点なので、二匹のねこに分けて「もも」と「たろう」に
3匹の猫に分けて「うら」「しま」「たろう」に
有名ねこ:BOXマスター「まる」
かご猫のせ猫「シロ」
たま駅長「たま」
飼い主さんの好きなものからつける
食べ物:「ごま」「がんも」「くるみ」「こむぎ」「おでん」
お菓子:「あられ」「おはぎ」「きなこ」「しぐれ」「もなか」
自然 :「そら(空)」「くう(空)」「てん(天)」「ぎん(銀)」
植物:「はな(花・華)」「さくら(桜)」「ゆず」「かりん」「りんご」
出会った時の季節や風物詩・月からつける
陰暦:「むつき(睦月)」「さつき(皐月)」「はずき(葉月)」
春夏秋冬:「こはる(小春)」「うみ(海)」「もみじ(紅葉)」「ゆき(雪)」「はなみ(花見)」「はなび(花火)」「ゆきみ(雪見)」
まとめ
猫ちゃんにもわかりやすいお名前のつけ方に困ったときは、とっかかりとしてまず、
「短い」「呼びやすい」「呼んでみて響がいい」といった猫ちゃんの分かりやすい音を重視しさらに「自分の好きなもの」を加えて候補をあげていくと、案外出てきそうです。
一つでてくると、それにつながるものが思い浮かびますから、あとはそれらを絞り込んでいくと、お気に入りのお名前にたどり着けそうです。
名前を付けたものに対しては、愛着と同時に責任や監護義務を自覚することにもなります。自分の都合だけで可愛がるのではなくて、責任を伴う愛情を育てていくチャンスですね。
どうぞ大好きな猫ちゃんに、お気に入りの素敵なお名前をプレゼントして、いっぱい呼んであげてくださいね。きっとかわいいお返事で「うれしい!」を返してくれることでしょう!
最後に、「すし」ちゃんと「ちゃい」ちゃんのお返事ぶりをご覧ください。鳴き声も個性的です!
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