猫の去勢は痛くてかわいそう?人間のエゴ?手術のメリットとデメリット

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「飼い猫に去勢をするのは痛い思いをさせることになるし、自然に反してる。人間のエゴだよ、かわいそう!!」

「メスに避妊手術をしておけば、オスに去勢手術はいらないでしょ?オスは妊娠するわけじゃないし、無駄に痛い思いさせることないよ」

そんな意見を耳にしたことはないでしょうか。また、あなた自身も、可愛い猫ちゃんに去勢手術をさせるのがかわいそうに思えて、手術するかどうか迷ったりしてはいないでしょうか?

猫ちゃんに痛い思いをさせたくない…その気持ちはすごくわかります!!「健康な体にメスを入れられるのってきっと痛い上につらいよね。手術受けさせない方がいいかなぁ」って、横にすり寄ってゴロゴロ言っている子の顔を見ると悩んじゃいますよね。

私も以前はそう思っていて、自分の猫に手術を受けさせるか悩んでいました。でも獣医さんや先輩飼い主さんの話を聞いたり調べたりして勉強したところ、「去勢手術は猫にとって全然かわいそうじゃないし、猫と一緒にいるなら受けさせた方がいいんだ、むしろ去勢手術しない方がかわいそうだ」って思うようになりました。

今回は、私の経験を交えながら、猫の去勢手術のメリットやデメリット、なぜ去勢がかわいそうじゃないと言い切れるのか、どうして去勢手術をした方がいいのか、といったことについてお話しします。去勢手術のことで悩んでいる方は、ぜひ読んでみてくださいね。

猫に去勢手術をするメリット

猫が繁殖で増えすぎたりすることや、交尾の際に感染症にかかるのを防げる

猫は放っておくと、どんどん繁殖してしまいます。そして増えすぎた猫が毎年、何万匹も殺処分されているんです。去勢手術をすれば、繁殖しすぎるのを防ぐことができます

「うちの子はオスで妊娠しないんだから関係ないじゃない」という方もいるかもしれません。でも、考えてみてください。その子自身が妊娠しなくても、もし外に出て行って子供を作ってしまえば、その子たちが殺処分されたり、劣悪な環境で育つことになります

去勢手術をして、猫が増えないようにするのは自然の摂理に反することかもしれません。でも可愛い猫ちゃんの血を引く子供たちがガス室で死んでしまうことになったり、ひどい環境で苦しみながら育つことになったらつらくありませんか?

また、外で交尾をすれば、交尾由来の感染症にかかってしまう恐れもありますし、他の猫とパートナーをめぐって喧嘩したりすることで感染症にかかる場合もあります。

交尾や唾液、血液から感染する病気として代表的なものに「猫白血病ウイルス感染症(FeLV)」と「猫エイズウイルス感染症(FIV)」がありますが、どちらも一度かかったら治らない病気です。

ウイルスキャリア(ウイルスが体内にいるが、症状が出ていない状態)で発症しないまま一生を終える子もいるようですが、発症した場合には多くの猫が命を落としてしまいます

去勢手術をすれば交尾をすることもパートナーをめぐっての喧嘩をすることもなくなるので、恐ろしい感染症のリスクを大きく減らすことができるのです。

重大な感染症にかからなければ、長生きできる可能性も上がります。それってすごく素敵なことですよね。

「スプレー」をはじめとする問題行動を防げる

繁殖期になると、多くのオス猫は問題行動を起こすようになります。問題行動は以下のようなものです。

  1. 大声で鳴く
  2. 攻撃的になり、他の猫とよく喧嘩するようになる
  3. 外に出たがるようになったり、そわそわして落ち着かなくなる
  4. 「スプレー」と呼ばれる、臭いの強い尿をあちこちに撒く行為をする

繁殖期のメス猫が大声で鳴くことは広く知られていることですが、オス猫もそれに呼応するように鳴くケースがあります。また攻撃的になって喧嘩が増えるのに加え、時に子猫などをかみ殺してしまうこともあるそうです。

そして、パートナーを探しに行きたい気持ちからそわそわし、家から脱走する危険性が高まります。ひとたび脱走すれば、交通事故に遭ったりして帰ってこなくなってしまう可能性が大いにあります。

それらの対策だけでも大変です。が、一番飼い主さんを悩ませるのは、4番目に挙げた「スプレー」でしょう。

「スプレー」とは、メス猫に自分の存在を示したり、自分の縄張りを主張するために、臭いの強い尿を様々なところにスプレーのように噴射してかける行為です。猫が自分の存在を誇示するために行う「マーキング」の一種と言えます。

尿をかける場所は布団にカーテン、壁、ソファなど様々です。スプレーの尿は、普段のおしっこよりもずっと臭いがきつく、その上一度布などについてしまうと、掃除をしても臭いがなかなか取れません。しかも、スプレーをした場所に尿の臭いが残っていると、猫は再びそこでスプレーをしてしまうんです。

「掃除をしても嫌な臭いが取れないし、猫はまたスプレーをするし…どうしたらいいの?」って泣きたくなっちゃいますよね。でも、そこで猫を叱ってもどうにもなりません。スプレーは叱ってもやむものじゃないですからね。

猫にスプレーをして欲しくないと思うなら、去勢手術をおすすめします。
スプレーには性ホルモンが大きく関わっているため、去勢手術をすると90パーセントくらいの猫がスプレーをしなくなるんです。

なお、一度繁殖期を迎えてスプレー行為をしたことのある猫の場合、繁殖期を迎えたことがなく、スプレーをしたことのない猫よりも、去勢手術をしてもスプレー行為がやまない可能性が高いとのことです。

なので、スプレーによる尿被害をより確実に防ぎたいと思うのなら、猫が最初の繁殖期を迎える前に去勢手術を済ませておいた方が良いでしょう。

上に書いたように、問題行動を猫にストレスを与えることなく収める方法として、去勢手術が有効なのです。

それこそ「人間が猫を管理しやすくするために手術をしている!かわいそう!」と言われるかもしれません。でも、繁殖期の問題行動に耐えかねて、猫を手放してしまう人もいますし、近所に迷惑と思われてしまい、トラブルになってしまうこともあります。それは猫にとっても人間にとっても不幸なことです。

猫を捨てたりしなくても、飼い主さんがうんざりして猫の飼育が嫌になってしまうこともあります。大好きな飼い主さんにいきなり冷たくされたり、嫌な顔をされたら、猫は悲しくなってしまうでしょう。その方が猫にとってかわいそうだと私は思いますよ。

繁殖期特有のストレスを減らせる

繁殖期になると性的な本能が高まることで、猫は交尾の相手が欲しい、交尾しなくてはいけない、と思うようになります。しかし、子猫が欲しいと思っていない場合に、飼い猫に相手を与えることはできません。そうなると猫は、相手を得られず交尾ができないことで、大きなストレスや焦りを感じることになるんです。

私的には、これが猫にとって一番かわいそうかな、って思います。なぜなら、交尾の相手を与えられないと、猫は「交尾したい!」という欲求を発散できずに繁殖期の間中悶々とし続けるのと同時に「交尾しなきゃいけないのにどうしよう!」って焦り続けることになるからです。

繁殖期の動物って「繁殖するために心も体もすべてを捧げるモード」になってるんですよね。その状態に切り替わってるのに繁殖ができないのって、人間が想像している以上につらいです、絶対。

必ずやりとげなきゃいけない大きな仕事をやろうとしているときを考えてみて下さい。もしその仕事の納期がすぐそこに迫ってきているのに、自分ではどうにもできないシステムエラーとかで全然それに手を付けられない、とかいう状況になったとしたら、もう焦るわイライラするわで大変な状態になりますよね。

猫の感じる焦りや苛立ちはおそらく、それが何倍もきつくなった感じです。そんな状態が続いたら、めちゃくちゃしんどいと思いませんか?

それを解決できる方法こそが、去勢です。去勢手術をすれば「繁殖にすべて捧げるモード」への切り替えがなくなるので、それにまつわるストレスを感じることなく、穏やかに過ごせるようになるのです。

生殖器の病気を減らせる

これも、去勢手術の大きなメリットの一つです。メスの場合に乳腺や子宮の病気を防ぐことができるのが知られていますが、オスの場合も、精巣腫瘍を防ぐことができます

猫の精巣腫瘍のリスクは犬より低いのですが、それでも、猫の病気を減らし、より長生きしてもらおうと思うなら、去勢手術をしておいた方がいいでしょう。

もしレアケースの腫瘍で苦しい思いをさせることになったら、猫にとって本当にかわいそうなことになってしまいますからね。

猫の去勢手術のデメリット

その猫の血を引く子猫が得られなくなる

猫に去勢手術をすることによる最大のデメリットは、その猫の子供ができなくなることです。まぁ、これについては、言うまでもないかもしれませんけど(;^_^A

ですので、猫ちゃんの繁殖を考えるのであれば当然ながら、去勢手術はできません。しかし、メリットのところで書いたように、去勢していない猫は発情期になると問題行動を起こすことがあります。臭いの強いおしっこを家中にまき散らすし、凶暴になって飼い主さんに噛みつくことだってあるんです。

「この子の子供が欲しいから去勢手術をしない!」という方もきっと多いですよね。私も「うちの子可愛いし、ちょっと子供の顔を見てみたいかも」って思ったことがありました。

でも、問題行動その他のことを知ったら「自分には猫の行動を鎮めることもできないから猫がかわいそうだし、おしっこのにおいとかに耐えられる自信もないからやっぱりやめよう」って思うようになったんです。

子猫が欲しいからと去勢手術をしない選択を安易にして、いざその時がきたときに後悔する方も多いと聞きます。なので、問題行動への理解を深め、しっかりと家族とも話し合ってから去勢するかしないかを決めるようにしてくださいね。

太りやすくなる

猫に去勢手術をすると、ホルモンバランスが変わります。そのことによって、太りやすくなる子が多いようです。うちの子も、元々はやせすぎくらいだったのに、去勢手術をしたらいきなり太りました。

人間もそうですが、猫も肥満になると様々な病気のリスクが上がってしまいます。なので、去勢後は体重管理をきっちりしてあげなければなりません。けど逆に言えば、飼い主さんが管理するだけで肥満は防げるし、ダイエットもできるんです!

基本的には、去勢猫用フードや太り気味の子用のフードなど、色々なフードがあるので、獣医さんと相談しながらそれぞれの子の体に合ったものを適切な量あげるようにすれば肥満は防げます。かさの割にカロリーが低いので、ウェットフードを食事に取り入れるのも手です。

猫のカロリー計算ができるサイトもあるので、参考にするといいですよ。
猫のカロリー計算Ver3.0

うちの子も、カロリー計算サイトを参考にしつつごはんをダイエット用のカリカリに変えて、更に缶詰やパウチなどといったウェットフードとも組み合わせてあげるようにしたら、ゆっくりではありましたが体重が減っていって、ダイエットに成功しました!

一度太ったせいでおなかの皮がたるたるになってるので、一見すると太ってるように見えるんですが、ちゃんと適正体重に収まっていて、獣医さんにも褒められます。

「カロリー計算して毎回フードを測るとかめんどくさい!」って思うかもしれません。その気持ちはわかります。私も最初はそう思ってましたから。でも、よくよく考えてみたら、フード管理より病気になった猫を病院に連れて行く方が大変なんですよね。肥満から病気になった子だったら、絶対重たいですし。

そして、繁殖期のせいで凶暴になった猫の行動を収めたりするのはもっと大変!先輩飼い主さんに聞いた話だと、繁殖期のたびに噛みつかれて、全治2週間~1か月もの大けがをする人もいるんだとか。

猫を病院に連れて行ったり、猫に噛みつかれたり引っかかれたりしてけがをすることに比べたら、フード管理の方がずっと安全で楽だと思いませんか?

毎回フードを測るのがめんどくさいなぁ、と思う場合は、1週間分まとめて測って、ジップロックに小分けして入れておくと便利ですよ。私もそうしてます。

難点は、測っている時に猫に見つかると「ごはんくれコール」が起こってしまうことですね。なでなでしておもちゃで遊んであげたりすればごまかせますけど。

全身麻酔や手術にリスクがある

手術である以上、去勢手術のリスクはゼロではありません。健康な猫ならそのリスクは少ないのですが、心臓などに何らかの病気を抱えている子や、高齢の子だと、手術に耐えられない可能性もあります。

また、去勢手術の際にはどうしても全身麻酔を使うことになりますが、全身麻酔にもそれなりのリスクがあります。こちらも、健康な猫であればトラブルが起こることはほとんどないとのこと。でもやはり、持病がある子や、年を取りすぎている子だと、麻酔から目覚めなかったりすることが時々あるそうです。

なので、持病のある猫ちゃんやかなり年齢が上の猫ちゃんに限っては、獣医さんとしっかり相談の上で去勢手術を受けさせるかどうか決めるようにしてくださいね。

猫にとって去勢手術は痛くてかわいそう?

猫にとって去勢手術は痛いものなのか…自分が猫になって経験したことはないので、はっきりと猫にとって手術は痛くない、とは言えません。

が、去勢手術をした時うちの猫は傷を痛がるようなそぶりは全く見せず、傷の痛さよりも、傷を舐めないようにと獣医さんが付けてくれたエリザベスカラーの方を気にして、ごろごろ転がったり、カラーを後ろ足で引っかいたり。ちょうど、下の動画の猫ちゃんみたいな感じでしたね。

麻酔切れてるはずなのに痛がらないなぁ、不思議だなぁ、と思って後日獣医さんに聞いてみたところ、猫の痛覚は人間よりも鈍いので、手術後の痛みはあんまり感じてないんじゃないかな、とのことでした。

メスの避妊手術だとおなかを開いて卵巣や子宮を取り出すので切る範囲が多くなるのでさすがに痛みを訴える子も時折いて、その時は鎮痛剤を処方するとのことです。が、オスはおなかを開かず睾丸をちょっと切って中身を取り出すだけなので、術後に痛くて騒いだりする子はほとんどいないとか。

病院に連れていかれたストレスなど、精神的なショックから震えが出たり、元気がなかったりする子は時々いるようですが、それらは一時的なものなので、長くは続かないそうですよ。

下の動画の子も、手術後日帰り&カラーなしで帰ってきてますが、けろりとした顔をして普通にお水を飲んだりハンモックで寝たりしています。

動画からもわかるように、去勢手術をした後、猫は傷を痛がりません。だから手術の痛みに関しては、そんなに気にしなくても良いでしょう。本当に一時だけのことですしね。

手術をしなかったことで後々感染症や病気にかかってしまう方が、好きなものを食べられなくなったり、炎症などで長い間ずっと痛くて苦しい思いをすることになったりするし、時に苦しみながら早死にしてしまうことになってしまったりもするので、去勢手術よりずっとかわいそうだと私は思いますよ。

猫の去勢手術はエゴだからかわいそう?

去勢手術は「人間のエゴ」だから、かわいそうなことなのだと言う方もいるでしょう。

でも去勢手術のように、「人間の考えで、動物を野生下ではない状態に変えること」をエゴと言うなら、かつて人間が野生動物であった猫を自分たちのパートナーとして品種改良して、人と一緒に暮らしやすい仕様に作り替えてきた歴史も、エゴでしょうし、人間が猫を飼育すること自体も、全部エゴってことになります。

そうなると、今目の前で幸せそうに寝ている猫の存在さえも「エゴの産物だし、エゴで飼われているからかわいそう」って言われるという、おかしなことになっちゃうんですよね。

人間のエゴについて考えていくときりがないし、絶対にどこかで「あれ?変だな?」って思うような矛盾が出てきます。考えたってしょうがないんです。

私はそれに気づいてから「何がエゴなのか」とか「エゴだからかわいそうだ」とかいう考え方をやめたんです。

代わりに、目の前にいる子を見たり撫でたりしながら「この子と自分がこの先何年も気持ちよく一緒に暮らしていくには、何が必要かな、お互いのびのび過ごすためには何をしたらいいかな」って考えて行動するようにしました。猫と長くお付き合いしていくには、幸せな時間を共有できることが一番大切ですからね。

そして、そう考えるようにしたら「去勢手術はうちの子と楽しく共存していくには必要なことだ!」ってすぱっと結論が出ました。それで私は、猫に手術を受けさせることに決めたんです。今うちの猫がさっぱりした顔で穏やかに過ごしているのを見ていると、良い選択だったと思います。

まとめ

猫の去勢手術のメリット
・子供が増えすぎることによるトラブルや、交尾にまつわる感染症を防げる

・スプレーをはじめとする問題行動を防げる・

交尾相手が得られないストレスを減らせる

・精巣腫瘍を防げる

猫の去勢手術のデメリット
・子供ができなくなる

・太りやすくなる

・手術や全身麻酔に多少のリスクがある(健康な子はほぼ問題ない。持病のある子と年齢の高い子は注意)

猫は去勢手術を痛いと思うのか、痛いからかわいそうなのか→猫は痛みを人間ほどは感じないので、あまり痛いと思っていない可能性が高い。ゆえに「痛くてかわいそう」ではない。

猫の去勢はエゴなのか→去勢手術のように「人間の手で猫を野生の状態ではない状態にすること」をエゴと言うなら、猫の飼育や、猫を品種改良してきた歴史もすべてエゴということになってきりがなくなるし、矛盾が生まれる。考えることに意味がない。それより、猫と人がどうすれば気持ちよく過ごせるか考えるのが大事。

限られたスペースで猫と共存する場合、去勢手術は双方が一緒に暮らしやすいようにするのにすごく有効な手段です。デメリットよりもメリットが多いし、猫も一時的な痛さをちょっと感じる程度なので、全然かわいそうじゃありません。だから繁殖の目的や健康上の理由がない限りは受けさせるようにしてあげてください。

大切なのは「その行動がエゴかどうか」ではなく、猫ちゃんの心と体の健康そして、その子と一緒に暮らすあなたの幸せな未来ですからね。

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